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ホント?地名なのに「丸亀」が使えない?!

讃岐うどんチェーン店を展開する「丸亀製麺」が、米ロサンゼルスのうどん店「丸亀もんぞうMONZO」に「丸亀という名称を使うな」とクレームしていたことが分かりました。
 もんぞうの店主の修業先にあたる、香川県丸亀市のうどん店「夢(む)う」の店主が、フェイスブックに書き込んだことで話題になったようです。
 「地名に商標権も使用料も無いでしょ!!」
 「勝手に地名使ってるくせに丸亀製麺はけしからん!」
 などとネットで声があがりました。
 「丸亀製麺」自体、丸亀市に店舗を持っていないことなども、批判に拍車をかける原因になりました。
 「丸亀製麺」を経営するトリドールの広報担当者は、
「今回の件では、こちらに『アメリカ本土の1号店ですか?』といった問い合わせが複数あり、お客さまが誤認しており混乱を招くと考えました。特許事務所などと相談した結果、誤解を与えるのでよくないということになり、相手方に書類を送っています」
 と回答したようです。

 さて、「丸亀」という地名は、商標法上はどんな扱いになるでしょうか。

 日本の商標法では、「丸亀」のような地名自体は識別力がないため、出願しても登録を受けることはできません。
 そこで、日本では、株式会社トリドールは、赤字に白抜き文字で、さぬき、うどん、丸亀製麺の3段書きのロゴや、讃岐釜揚げうどん、丸亀製麺の2段書きのロゴなどで、権利を取得しています。
 一方、米国では、株式会社トリドールが出願した「丸亀製麺」「MARUKAME」が登録になっています。
 米国の商標法でも、地名自体には商標登録を認めていません。しかし、東京や京都ならいざ知らず、丸亀市は、世界的に有名な都市ではありませんので、米国特許庁のこの判断は妥当だと思います。
 実は、株式会社トリドールが丸亀もんぞうに対して行なった「クレーム」は、商標業界では一般的に行なわれているもので、自分たちの商標である「MARUKAME」の価値が希釈化しないように行なう通常の企業努力です。  つまり、トリドールとしては、自分たちが努力して発展させて有名にした「丸亀製麺」というブランドの力が希釈化されないように頑張っているだけであり、「もんぞう」を潰してやろうなどといった意図はないのです。  一方、「丸亀もんぞうMONZO」に非があるかというと、これまた全くどこにも問題はありません。地名を使用しただけですし、丸亀製麺の名声に便乗する意図も全くありません。さらには、商標として使用している丸亀のロゴは、非常に小さく、通常の文字では無いため、日本人であっても読むのは困難です。もし読めたとしても、「まるがめ」であって、トリドールが所有している「MARUKAME」とは非類似と判断される可能性すらあります。
どちらも大して悪くないのに、大騒ぎになってしまって、悪者になったトリドールは気の毒としか言いようがありません。
ただ、一般的に、地名を含む商標登録を受けた商標権者の方々は、その権利行使に慎重になる必要があります。
特に、警告状を送る場合には、ネットでの反応なども考えながら、その文面を考える必要性があるのかもしれませんね。

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