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2012年9月

2012.09.10
関連件の取り扱いについて

同一発明者、同一出願人の関連件を同日出願すべきか否か

(1)日本・韓国において
 日本国特許法29条の2では、同一出願人、同一発明者に関しては適用がないため、出願日が多少前後しても何ら問題は生じません。韓国でもほぼ同様の規定ぶりになっています。

(2)米国において
 米国に関しては、この度の改正AIAによってヒルマードクトリンが無くなったため、102条(e)により優先日基準で日本と同様の拡大された先願の地位が生じます。しかし、やはり同一出願人、同一発明者に関する例外規定があるため、出願日が多少前後しても何ら問題はありません(なお、出願人及び発明者が異なる場合、後願は先願に対して進歩性を有する必要があります)。

(3)欧州・中国において
 欧州及び中国では、発明者、出願人が同一であるか否かを問わず、先願の明細書中に開示され公開された発明については、後願で権利化することはできません(EPC54(3) 専利法22条2項(2009/10/01導入))。また、その基準は優先日(今回の場合の日本国出願日)です。従って、欧州、中国に対して優先権を主張することを考えた場合、実施形態に同一内容を含んだ2件以上の国内出願で出願日が前後すると、自分の先願で自分の後願を殺すことになり(self collision)非常に困ったことになります。従って、同日出願を行ない、このようなself collisionを回避しなければなりません。但し、複数優先の主張で欧州出願1件(中国出願1件)にまとめることにより、形式的なself collisionの回避は可能です(単一性の問題が残ります)。

(4)結論として、やはり実施形態に重複部分があるような2件以上の出願については、できる限り同日出願を行なうべきです。

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