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2013.02.21
発明を確実に強い特許権に結びつける方法

特許出願を踏まえた発明の把握方法

1. どのような課題を解決するためにどのような構成を備えた発明なのかを発明者から大まかに把握する。とにかく、発明者には自由に気持ちよく話してもらい、途中で決してネガティブな意見を述べないこと。
2. 発明者が課題と思っている事項が、実はネガティブな問題である場合、ポジティブな表現の真の課題に置き換える。
3. 発明者が課題と思っている事項が複数ある場合、最も重要な課題1つに絞る。または、複数の課題を含む上位概念の1つの課題を設定する。1つの課題を設定できない場合、複数の出願にすべきである。
4. 課題を解決するための最小構成を把握し、その最小構成に肉付けることのできる構成を段階的に把握する。

発明を確実に特許に結びつける特許請求の範囲の記載方法

特許査定を得るには進歩性が認められなければならない。一方、記載不備、不明瞭といった評価が下された場合、権利化が遅くなるだけでなく、1回分、審査のチャンスを失うことになり、権利化確率が大きく下がる。これらのことを踏まえ以下の点に注意する。

1. 徹底的に調査を行ない、対象発明に最も近い従来技術文献を選択する。特許庁で行なわれている特許調査と同じやり方で調査を行なう。
2. 従来技術文献との差異を主張できる最も上位概念の課題を設定する。
3. 設定した課題を解決する最小構成を見つけ、請求項1とする。つまり、構成要素を最小限に絞り、課題解決に寄与しない構成を排除する。その後、一つ一つの構成要素を上位概念化する。このとき、決して闇雲に上位概念化した不明瞭な表現で請求項1を記載しない。ターゲット(侵害製品)をイメージし、そのターゲットを含む明瞭かつ上位概念の表現を考える。
4. 請求項1に含まれる記載のみで、最小構成を図に書けることを確認する。特に、請求項1に含まれる複数の構成同士の関係性が、請求項1に明瞭に示されていることを確認する。
5. 最小構成によって、従来技術文献とは異なる顕著な効果を奏することを主張できることを確認する。
6. 請求項1に対して顕著な効果を奏することを主張できる構成を従属請求項2以降に列挙する(請求項は必ず複数記載する)。
7. 過去の記載不備拒絶理由を精査し、記載不備の拒絶理由を貰わないための最大の努力を行なう。
権利行使を前提とした明細書の作成方法

権利行使を行なう場合、明細書中の記載が権利範囲を限定するために用いられることを肝に命じるべきである。

1.特許請求の範囲に記載された構成が実現可能な最低程度に具体化する。
2.「従来技術」、「余計な数値」、「進歩性を主張できない事項」を記載するべきではない。とにかく書きすぎに注意する。特に米国での権利行使の際に不利になる。
3.特許請求の範囲に記載された用語がすべて明細書中に登場しており、かつ、その定義が明瞭であることを確認する。
4.明細書中で、「本発明は・・・」という表現を絶対に用いてはならない。
5.請求項1に含まれる構成要素のみで構成された実施形態を記載する。
6.一文を120文字以内とする。
7.従来技術の欄には、文献の内容のみそのまま記載する。従来技術ではない技術を従来技術として自認すると権利範囲は限定解釈される。図などを用いて分かりやすく説明する必要は無い。淡々と従来技術文献の内容を説明すべきである。従来技術を図を用いて説明しなければ発明が把握しづらい場合には、その図は、「従来技術」ではなく「前提技術」として実施形態の欄で説明する。従来技術を示す図は明細書に含めないことが重要である。

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